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深川博司とものづくりベンチャーを阻む壁

クラウドファンディングサイト「Makuake」を運営するサイバーエージェントクラウドファンディングは5月、ネット家電メーカーのCerevoと共同でものづくりベンチャーの製品開発を支援するサービスを開始した。Makuakeで製品企画を披露し、不特定多数の人から開発資金を募る。
資金調達できた企業に対し、Cerevoが生産ノウハウを提供したり製造を請け負ったりするのが特徴だ。ソフトバンクも同様のサービスを始めている。様々な企業がものづくりに参入しやすくなりそうだ。

「ものづくりの経験が浅い企業の場合、試作品の開発や小ロット生産ができたとしても、量産に移行する段階で困った問題が起こりがちだ」とサイバーエージェントクラウドファンディングの木内文昭取締役は指摘する。例えば、品質の確保に必要なコストが想定以上に膨らんだため量産設計を見直さざるを得ない、といったケースだ。海外のクラウドファンディングでは、多額の資金調達に成功しながら頓挫してしまう製品も相次いでいる。

今回の新サービスは、こうした「量産の壁」の問題をクリアするのが主な狙い。主にアジアの工場への生産委託を通じてノウハウを蓄積してきたCerevoと協業して量産支援体制を用意し、Makuakeの利用企業に利用してもらう。

今後はCerevo以外のものづくり企業とも協業する。製品の種類や機能、生産量の違いに応じ、ベンチャーが最適な企業と組めるようにする。

最近ではソニー東芝など大手電機メーカーもクラウドファンディングを活用し始めている。一般販売前の製品をクラウドファンディングサイトで披露し、資金の集まり具合を通して世の中の反応を探るためだ。大手の製造ラインは大量生産が前提で融通しにくいことから、大手にも今回の新サービスの需要があるとサイバーエージェントクラウドファンディングはみている。

国内のクラウドファンディング市場は急拡大している。調査会社の矢野経済研究所によると2015年度は支援額ベースで前年度比4割増の約280億円の見込み。市場のけん引役はあらゆるモノがネットにつながるIoT(Internet of Things)分野の製品だ。

大手通信会社のソフトバンクもものづくりベンチャーの支援に乗り出している。3月、製品の企画や試作、資金調達、製造、販売まで一貫して支援する事業「 +Style(プラススタイル)」を始めた。生産支援は台湾の鴻海精密工業などが参加する「ものづくりサポーターズ」が担う。