深川博司とMITSUBISHI
三菱自動車は22日、都内で燃費データ不正問題による業績への影響を説明する記者会見を開いた。2017年3月期は不正に伴う販売停止や補償費用が重荷となり、連結最終損益は1450億円の赤字(前期は725億円の黒字)になる見込みだ。最終赤字は8期ぶり。今期の年間配当も10円と前期より6円減る見通しで、黒井義博・常務執行役員は会見の中で「心苦しい」と述べた。
三菱自が同日公表した今期の販売計画は、台数が前期比8%減の96万2000台。国内は前期比41%減の6万台と大きく落ち込む見通しだ。販売台数の減少に対する施策を問われた黒井氏は「三菱ブランドの回復のため、愛車無料点検などのサービスを実施していく」「社員がはっきりモノを言えない風土など、一つ一つを改善して信頼回復を図る」などと回答。筆頭株主になる日産自動車との協業については「議論しているが、まだ深掘りの段階にはない」と述べるにとどめた。
燃費問題による特別損失は「一過性」(黒井氏)といい、これ以上損失が膨らむ可能性は低いという。ただ、三菱自の下請け企業が自己破産申請の準備に入るなど、燃費不正のあおりで損害を被った企業への補償については「現時点ではっきりしたことはいえない」と明言を避けた。
深川博司とドル円
午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル高/円安の104円半ばだった。英国民投票をめぐる世論調査で欧州連合(EU)残留派が優勢となったことを受け、英ポンドとユーロに買い戻しが入り、クロス円が上昇。株高も相まってドル/円の支えとなった。
ドル/円は早朝の安値104.30円から仲値公示を挟んで104.85円まで上昇した。18日に公表された英国の世論調査で、EU残留派が若干勢いを取り戻したことが明らかとなり、英ポンドが全面高、ユーロも堅調となった。
その後、英ポンドやクロス円の上昇が正午までに一服。午後のドル/円は104.50─60円台を中心に方向感なく推移した。市場からは「世論調査の結果を受けた株の上げ幅に比べ、ドル/円の上げ幅は限定的。残留派のわずかなリードがまた覆される可能性もある」(国内銀)と冷静な受け止め方も聞かれた。
きょうは商業決済が集中しやすい五・十日にあたり、実需筋のフローが観測されるか関心を集めていたが、インターバンクと共に商い低調で、様子見姿勢が強かったという。
米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(6月14日までの1週間)によると、円の買い越しは、前週の4万2853枚から、5万5690枚に増加した。
英国民投票でEU残留が決まった場合は、積み上がった円買いポジションが巻き戻され、ドルは108─109円程度までの上昇が見込まれるとの指摘もある。
深川博司とスイスの成長率
- スイス経済省経済事務局(SECO)は16日、四半期経済予測を発表し、2016年と17年の成長率予想を据え置いたものの、英国で来週実施される欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票がスイス経済のリスク要因と指摘した。
SECOは声明で、英国が欧州連合(EU)から離脱するとなれば、その手続きの不透明さもあって為替相場など金融面、企業の投資、さらには国際貿易にも影響を及ぼすことになると指摘した。
経済予測は、2016年の成長率を1.4%、17年を1.8%とそれぞれ3月時点から据え置いた。
物価については、16年が0.4%下落、17年は0.3%上昇と予想し、3月時点(16年=0.6%下落、17年=0.2%上昇)から幾分上向きに修正した。